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固定資産税還付

建物の固定資産評価基準

建物の固定資産税評価額は「適正な時価」ですから、固定資産評価基準に定められた適正な時価の算定方法も、不動産鑑定の時価の算定方法に本来近似するはずです。

不動産鑑定の時価の算定方法には、次の3つの方法があります。

・原価法
・取引事例比較法
・収益還元法


さらに、原価法には、取得価額方式、再建築価格方式がありますので、結局、全部で4つの方法があります。

建物の固定資産税評価額は3年毎に評価替えを行うと前述しましたが、実はおおもとになる評価は初年度(建築時)に一回行うだけで、評価替え年度では所要の調整(後述)を行っているだけですので、原価法のうちの取得価額方式が最も適しているはずです。建築時には工事費という明確な取得価額があるわけですから。

ところが、固定資産評価基準は、上記4つの方法のうち、再建築価格方式を採用しています。

その理由は次のとおりです。

・取得価額は、発注者・受注者の力関係等、個別事情が介在するので偏差が生じ、公平な価格とはいえない。
・取引事例にも個別事情が介在するので偏差が生じ、公平な価格とはいえない。
・収益価格は土地と建物が一体となって形成するものなので建物部分の分離が困難。

取引事例比較法と収益還元法についてはそのとおりですが、取得価額方式を否定する理由はいかにもお役所の発想です。

お役所が談合で発注する工事であればいざ知らず、民間が競争原理に基づいて行った工事価格こそがまさしく「時価」のはずなのに、それはお役所が決めた「時価」ではないから認めないという姿勢です。
再建築価格方式であれば、建物の価格を構成する基本要素(例えば、コンクリートや壁紙等)の細部に至るまでお役所の「単価」で統一してしまえば、完全に公平な評価が出来るはず、というのが基本思想となっています。
この単価のことを固定資産評価基準では「標準評点数」と呼んでいます。

ともあれ、役所が基準年度毎に決めた、この「単価=標準評点数」をもとに、工事の中身を全て積算し直して、時価を算定し直すという非常に面倒臭いことを一棟ごとにやっているのが建物の固定資産税評価なのです。

この、一棟の建物全部を標準評点数に基づいて再評価し直した価額を「再建築費評点数」といい、この再建築評点数を元に固定資産税評価額は次のように求められます。

・新築時  再建築費評点数×評価時点の経年減点補正率(通常1年分)×1円×1.10
・経年時  【基準年度の前年度の再建築費評点数×物価変動による補正率】×経年減点補正率×1円×1.10


上式から明らかなように、経年時(新築時以降に訪れる基準年度ごとの評価時)には新たに再建築費評点数を求めるのではなく、当初(新築時)の再建築費評点数に物価変動による補正率(正式名称は再建築評点補正率)を乗じて求めています。

また、上式において、

・再建築費評点数を求める基準は全国共通
・物価変動による補正率(再建築評点補正率)も全国共通
・経年減点補正率も全国共通
・1点=1円も全国共通(日本中どこでも建築単価は同じ)
・1.10(設計管理費等の負担分を上乗せする補正率)も全国共通


ですので、地域による物価水準(工事費水準)の違いは全く考慮されておらず、東京の都心で建てた建物も地方の過疎地で建てた建物も、評価に間違いがなければ、同じ固定資産税評価額となります。


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