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固定資産税還付

評価間違いのパターン

では、評価間違いにはどんなものがあるのでしょうか?

ここで、もう一度、固定資産税・都市計画税の算定式と固定資産税評価額の算定式を再掲します。

固定資産税
= 固定資産税評価額(=課税標準額)×1.4%(年額)

都市計画税
= 固定資産税評価額(=課税標準額)×0.3%(年額。都市計画区域のみ)

新築建物の固定資産税評価額
再建築費評点数×評価時点の経年減点補正率(通常1年分)×1円×1.10

評価替え時の固定資産税評価額
= 【基準年度の前年度の再建築費評点数×物価変動による補正率】×経年減点補正率×1円×1.10

1.4%0.3%は、間違っていても納税通知書の課税明細でわかりますが、さすがにここは間違いません。

1円と1.10、基準年度の前年度の再建築費評点数も普通は間違いません。1.10の2回掛けていたとか、前年度の再建築費評点数を転記間違えたというような、嘘のような間違いを見つけたことはありますが、今は電算化されているのでここで間違うことはないようです。

物価変動による補正率も、全国一律で評価替え年度毎に決まりますので、これも今は間違いません。
今は、と言ったのは、昔はこれを市町村ごとに決めていましたので、間違い、というか、おかしいだろう、というケースはあります。

残ったのは、再建築費評点数経年減点補正率です。
再建築評点数は複雑な積み上げ計算なので間違うのも分かりますが、経年減点補正率は表から選択するだけなのに、それでもよく間違っています。選択するときに「評価」の概念が入るためです。

評価間違いの主なパターンは次のとおりですが、これ以外にも色々とあります。
とにかく、驚くほど間違っています。全く間違いが発見されないのは、100件に1件あるか無いかですから。

 
単純間違い

評価担当者が入力後に確認作業をしていれば容易に見つけていたであろうと思われるような単純間違いです。補正係数が0.5~1.5である評点項目に5.0の補正係数が適用されているようなケースです。恐らく、入力の際に、0.5と入力するつもりが5.0とキーインしてしまったのでしょうが、このようなミスで毎年何百万円も多く課税されたのでは納税者は堪ったものではありません。

補正係数の適用間違い

主に担当職員の知識不足によるものですが、電気配線の配管種別を誤ったりすることによって、補正係数が誤って適用されます。設備の評点項目はその殆どが全床面積を計算単位としますので、わずかな補正係数の違いで評価額に大きく影響します。 

誤計上

実際には使われていない設備の評点を計上しているパターンです。これも担当職員の知識不足が原因です。例えば「屋内消火栓」という評点項目があります。スプリンクラーが設置されている建物の多くは屋内消火栓が免除されていますが、スプリンクラーが設置された建物には補助散水栓という見た目が屋内消火栓と同じ水栓が設置されます。これはスプリンクラー設備の一部なのでスプリンクラー設備の評点数でカバーされているのに、屋内消火栓だと勘違いして別途に屋内消火栓の評点数を計上している場合があります。 

計上漏れ

空調設備をそっくり計上し忘れたり、エレベーターが2基あるのに1基しか計上していなかったりするケースです。最低でも1項目、多いときは3~4項目の計上漏れが見つかることもあります。

経年減点補正率の適用間違い

経年減点補正率の考え方は法人税等の固定資産の減価償却と同じで、経年により建物が劣化する分、補正率によって評価額の引き下げを行います。鉄骨造の倉庫のような建物は減価(劣化)が早く、鉄筋コンクリート造の事務所のような建物は減価(劣化)が遅くなるよう補正率が用途・構造別に定められていますが、複合用途建物等で適用を誤っているケースがあります。

 

厳密には評価間違いとはいえませんが、市町村等によって、補正係数の適用が著しく異なる評点項目が存在します。大きな評点項目の場合、わずかな補正係数の適用の差異で、固定資産税評価額や税額の総額に数パーセントの差異が生じることもあります。
固定資産評価基準の制定の趣旨が全国一律の評価を行うためであり、再建築費評点数以外の補正率の部分が全て全国共通になっていることからも、再建築費評点数を求める過程でこのような市町村ごとの取扱いの違いによる差異が生じるのは望ましくなく、今後の是正が期待される部分です。


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