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建物固定資産税の課税根拠は開示されない?

不動産を所有していると、毎年、早い場合は4月の初め頃、遅い場合で6月の初め頃に建物が所在する市町村等から「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)納税通知書」という書類が届きます。 そこには年税額が示されていて、その税額を4期に分割して納付する場合の各納税額および納期限が示されています。
そして、全納付用と分割納付用の納付書が一緒に入っています。

普通の方はここまでしか見ませんが、この納税通知書の後ろに「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)課税明細書」というのがついています。これが、賦課課税方式による税金である固定資産税・都市計画税の課税額について、計算者である市町村等が納税者に開示している計算根拠資料です。

各市町村等によって書式はまちまちですが、必ず書いてあることをまとめると次のような感じです。

資産名 所在 家屋番号
  種類 当該年度価格(千円) 当該年度固定資産税
課税標準額(千円)
固定資産税
相当税額(円)
  構造 床面積(㎡) 当該年度都市計画税
課税標準額(千円)
都市計画税
相当税額(円)
家屋 ■■〇〇丁目△△番□ △△番地□
  事務所 972,520 972,520 13,615,280
  鉄骨 6,824.35 972,520 2,917,560

さて、これで税金計算は間違いないでしょうか?

1.所在、家屋番号は・・・合っている。これは税金計算に関係ないだろう。
2.建物の種類は・・・事務所だな、合っている。でも、これが税金計算に関係あるのだろうか?
3.構造は・・・鉄骨造だ、合っている。これも税金計算に関係あるのだろうか?
4.当該年度価格・・・972,520千円。なんだろう?、これは。買った金額とも違うし。
5.床面積・・・6,824.35㎡。う~ん、登記床面積とちょっと違うな、建築確認面積とも合わないし、何だろう?
6.当該年度固定資産税課税標準額・・・972,520千円。これが、税金の課税標準額だな。当該年度価格と同じということか?
7.当該年度都市計画税課税標準額・・・972,520千円。これも当該年度価格と同じだ。同じでいいのかな?
8.固定資産税相当額・・・13,615,280円。これが固定資産税か。なんで相当税額なのだろう?
9.都市計画税相当額・・・2,917,560円。これが都市計画税か。これもなんで相当税額なのだろう?


どうでしょうか?
実を言うと、こんな情報で税額計算が合っているかどうかは分かりようがないのです。

取りあえず、1はあなたの言うとおり、税金計算には関係ないです。しいて言えば、この建物に課税する権利がこの市町村等にあることの確認です。

2と3は、ここに何と書いてあるかは直接関係ないです。じつはもっと本質的な問題がこの奥に隠れています。

4、これが「固定資産税評価額」です。この建物の「時価」だとして市町村等が「評価」した金額です。

5は課税床面積です。基本的には不動産登記法に定められた計算方法による登記床面積がベースになっています。建築確認面積は建築基準法に基づく計算なので全く関係ありません。登記床面積と微妙に違うのは、登記床面積に算入されない部分でも現地調査の結果、課税対象になると判断されると加算されるためです。未登記の部分が現地調査で見つかれば当然加算されます。登記面積より減ることはまずありません。税金が減ってしまいますから・・・

6と7は、これで合っています。建物の場合、固定資産税評価額=固定資産税及び都市計画税の課税標準額となります。土地は違うため、このような区分があります。

8は固定資産税課税標準額に対して限度税率(最高税率)1.4%、9は都市計画税課税標準額に対して限度税率(最高税率)0.3%と国で決まっています。実際の税率は各市町村で違いますが、多くの場合、限度税率を採用しています。972,520千円×1.4%=13,615,280円、972,520千円×0.3%=2,917,560円ですから、限度税率ですね。 合っていますが、何故相当税額かというとこれがイコール税額ではないからです。課税標準額は千円未満切捨、税額は百円未満切捨と決まっていますので、あなたが当該市町村等で所有する他の不動産の相当税額を合算した後、最後に百円未満を切り捨てて税額になります。別々の不動産なのだから本当は別々に百円未満を切り捨てた後、合算すべきだと思いますが、1円でも多く税金を取ろうとしています。

さて、ここまで解説して、「こんな情報で税額計算が合っているかどうかは分かりようがない」と言った意味がご理解いただけたでしょうか?  

そうです、肝心の「評価額」が決まった根拠が全く開示されていないのです。

何故、開示されないのでしょうか?
開示する資料が膨大だから?
そんなことを言えば、こちらは所得税や法人税等の申告納税方式の税金を納付するとき、膨大な申告書を作らされて情報開示を求められているのだから理由になりません。この例で言えば、1650万円以上もお金を取ろうと言うのに、その内訳も見せていないのです。
じつは資料の量も、そんなに膨大でもないのです。
じゃあ、何故開示しないか?

間違っているかもしれないからです!


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